『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』(中島聡さん)。
これは、単なる効率化ノウハウや時短テクニックの本ではない。「時間との付き合い方」と徹底的に向き合い、「本当にやりたいこと」に時間を使うための本だ。好きなことに思い切り向き合うための時間術を教えてくれる。
仕事が終わらなくて悩んでいる人はもちろん、そこまで深刻ではないけれど、なんとなく日々だらだら勤務時間を過ごしてしまい、もやもやしている私のような人にも向いている。
私はこの本を、シゴデキの同僚が「なぜかいつも締切を守らないことで有名」な後輩に渡してやったと言うのを聞いたのがきっかけで読んでみた。タイトルが刺さった。
そもそも、なぜ仕事は終わらないのか。理由を大きく分けると、単純に仕事量が多すぎるか、仕事の仕方(質)が悪すぎることになるのかなと考えた。
仕事量が多すぎる問題の解決策はコントロール方法になる。仕事の引き受け方、断り方、調整の仕方の問題だ。一方、仕事の仕方が悪すぎる問題は、能力の話ではなく「やり方」に解決策が潜んでいることも多い。目の前の仕事を細かく分解し、一つ一つに集中して取り組む。ただそれだけのことが、なぜかできない。著者は「常に締め切りを守れる人は100人に1人もいない」とまで断言している。
日本の悪しき習慣として挙げられているのが、「最後に頑張る」という発想と、締切を明確にしない「なるはや」文化だ。著者の主戦場だったアメリカでは、早朝から働き始め、晩御飯の前には退社する。また、どんな仕事にも必ず締切があり、締切があるからこそ効率化を考える。その結果、生産性が上がる。ごくシンプルだが、日本ではなかなか徹底されていない。
著者は、仕事が終わらない理由として三つを挙げている。①安請け合い、②ギリギリまでやらない、そして③計画の見積もりをしないこと。
嫌なことをやりたくなければ、効率化するしかない。著者が繰り返し強調するのは、「とにかく早く形にする」ことだ。まず形にして、計画を見積もる。もし間に合わないと分かった時点で、締切を交渉する。これだけで、仕事が終わらない状況はかなり減ることになる。
その具体策として紹介されるのが「ロケットスタート時間術」だ。締切は絶対に守るものと考え、仕事開始から締切までの時間の2割で、その8割を終わらせる。20倍界王拳をイメージし(できない・・・無敵スターにしておこう・・・)、集中して最初の2割の時間は全力疾走で仕事に向き合う。
この集中すべき2割の時間では、マルチタスクを完全に放棄する。「メールに即レスするな」、と著者は言う。正直、私はここには少し抵抗がある。部下がすぐに返せるはずの急ぎの確認メールにすぐに返さないと、イライラするし不安になるタイプだからだ。ただ、それでも「午前中は基本的にメールを返さない」くらいの線引きは、やはり必要なのかもしれない。著者は、界王拳を使っている間は、メールにも電話にも出ないと覚悟しろ、と言う。その時間にやるのはメインの仕事だけ。それ以外はすべて捨てる。メールは返さない。電話にも出ない。会議も可能な限り避ける。Teamsで雑談している場合ではない。
ここで重要なのは、「仕事は最速で終わらせてはいけない」という点だ。最初の2割の時間で仕事の8割を終わらせたあとは、残りの8割の時間を使って、じっくりと完成度を高める「流しの期間」に入る。焦って仕上げるのではなく、余裕を持って質を上げるための時間だ。
著者自身は、朝4時ごろに起きて、顔を洗ったらそのまま仕事に入るという。コーヒーすら入れない。一瞬のスキも作らず仕事を始めるらしい。さすがに朝はコーヒー飲みたい・・・。
習慣を身につけるには、同じ行動を平均66日続ける必要があるという話も出てくる。だから、まずは2か月。気楽に続けてみる。
印象に残ったのは、「勉強のための勉強はしない」という言葉だ。英語なら、英語を勉強するのではなく、「英語でこれをやりたい」という目的を先に置く。その中で身につける。これは仕事にもそのまま当てはまる。
さらに耳が痛いのが、「集中しなければいけない仕事なんかするな」という一言だ。そうは言っても、と思いつつも、「時間との付き合い方」と徹底的に向き合えというメッセージとしてはかなり強烈だ。
最後に、今日から絶対にやるべきこととして挙げられているのが、夜寝る前に翌日のタスクリストを作ることだ。翌日にやるべき仕事を15分程度で終わる単位まで分解し、それをリストに書く。そのリストの作業を終える度にチェックが入っていくことでリズムが生まれ、快感が生まれる。私は明日すべき仕事の8割を、午前中までに終わらせる。翌日のタスクリストを作り終えたら、スマホを触らず、明日の仕事を思い浮かべながら、ワクワクしてベッドに入る。
私の仕事は、仕事を終わらせることだ。
でも、私の人生の仕事は、仕事を終わらせることではない。人生を思いきり楽しむことだ。やりたくもないことに、延々と時間を取られるなんて、あまりにももったいない。

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